日本比較文学会関西支部 2026年1月例会 デンマーク特集
「死と追憶のデンマーク文学」
1月24日(土曜日) 14:30-17:30
関西学院大学大阪梅田キャンパス+zoom(ハイフレックス開催)
*教室やzoomのURLは支部会員へのメール案内をご覧ください
本例会ではデンマーク特集として、世界文学として名の知れた2人の作家に的を絞り、報告と発表をします。まず、司会の田辺会員より、デンマーク社会、デンマーク文学略史、日本におけるデンマーク文学の受容についてイントロダクションを行います。その後、久木田会員とヘアマンセン(非会員・関西学院大学)より、アンデルセンとブリクセン(ディネセン)について、「死と追憶」をテーマに個別の発表を行います。
司会 田辺 欧
14:30-15:00 田辺 欧「デンマークとその文学」
15:00-15:40 久木田 奈穂(大阪大学・院)
「押し花から祝祭へ──アンデルセン没後150年・〈死と追憶〉の文化実践」
15:40-15:45 司会からコメント+短い質疑
15:45-16:00 休憩
16:00-16:40 ヘアマンセン(Christian Morimoto Hermansen、非会員・関西学院大学)
「心に秘めた世界の奥深くに――ブリクセン『バベットの晩餐会』」
16:40-16:45 司会からコメント+短い質疑
16:45-17:30 フロア討議
* アンデルセン「もの言わぬ本」(『完訳アンデルセン童話集』第3巻、大畑末吉訳、岩波文庫、1984年改訂版)、およびディーネセン『バベットの晩餐会』(桝田啓介訳、ちくま文庫、1992年)、もしくは映画『バベットの晩餐会』(ガブリエル・アクセル監督、1987年)に事前に触れてからご参加いただきますと、より理解が深まります。
久木田奈穂「押し花から祝祭へ──アンデルセン没後150年・〈死と追憶〉の文化実践」
要旨:アンデルセンは一般に「童話作家」として記憶されているが、その作品にはしばしば死・追憶・沈黙といった大人向けの主題が潜む。本発表では、1851年「もの言わぬ本」に描かれる「思い出を押し花として保存する」行為と、アンデルセン自身が旅や出会いの記録を押し花に託した習慣に着目し、個人的記憶の物質化がいかなる死生観を形づくるのかを考察する。さらに、没後150年を迎えて2025年に行われた記念行事──教会の打鐘に代表される公的儀礼や、アンデルセン博物館による押し花や沈黙のモチーフを用いた展示・現代アーティスト作品──において、私的記憶が社会的記憶へと翻訳される過程を検討する。個人のささやかな記念行為が祝祭的文化実践として共同体に回収されていく動態を示すことで、デンマーク文学における「死と追憶」の文化的枠組を明らかにしたい。
クリスチャン・ヘアマンセン「心に秘めた世界の奥深くに――ブリクセン『バベットの晩餐会』」
発表要旨:1985年、コペンハーゲン大学がブリクセン(ディネセン)の生誕100周年を祝った際、デンマークを代表する女優の一人であるボディル・ウッセンが『バベットの晩餐会』を朗読した。同年は、メリル・ストリープがブリクセンを演じ、シドニー・ポラックが監督を務めた映画『アウト・オブ・アフリカ』が公開された年でもある。その3年後、デンマークの映画監督ガブリエル・アクセルは、映画『バベットの晩餐会』でアカデミー外国語映画賞を受賞した。本発表では、まず、『バベットの晩餐会』の概要を簡単にまとめ、主人公たち、語り手、読者、そしてこの物語において「追憶」が果たした役割について説明する。次に、この物語の背景と出版の歴史について考察する。最後に、ブリクセンの物語とアクセルによる映画化の重要な違い、「だけではない」という点について説明したい。
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